バックカントリーでは、雪崩を起こさず安全に滑り降りる事が求められますが、どのルートを選ぶかも重要なポイントです。
バックカントリーに行く前には必ず事前にルート確認をしていますが、そこでオススメなのが
「山スキールート212」
バックカントリー入門者~中級者を対象としたルートを選定しており、山の概要、ルートの所要時間、技術レベルなどが地図上に表記されており、頭の中で具体的なルートをイメージしやすいガイドブックです。
実際にこのガイドブックでルート確認し、八方尾根、立山室堂、針の木岳などにバックカントリーに行きましたが、とても参考になりました。
今回は、八方尾根・押出沢へのバックカントリーを画像と共にご紹介します。
八方尾根 押出沢 事前ルート確認
「山スキールート212」で事前にルート確認を行います。
八方尾根スキー場の山頂までリフトで上がり、八方池山荘からハイク開始、八方山ケルンの稜線沿いに上り、トイレを通過後、右方面へルートを取り、押出沢へ向かいます。
押出沢から谷へ滑り込み、南俣入あたりで川沿い進み、徒渉ポイントを探し川を渡り、ゴール地点の二股まで移動するというルートです。
今回はソロなので、ゴール地点の二股からはタクシーを呼んで八方尾根スキー場に帰る予定です。
危険個所、注意すべき点ルート上に書かれており、等圧線で谷の深さや方向もイメージしやすくとても参考になります。
八方尾根 押出沢 バックカントリー
八方尾根スキー場からリフトで山頂まで行き、ビーコンチェッカーでビーコンの動作確認をして、登り始めます。
登山届はWEBで事前申請しておくと楽ですが、リフトで提出することもできます。
八方尾根ではバックカントリーへ行く人が大勢いるので、稜線も踏み固まっており比較的ハイクがしやすいです。
スノーシューも履かずにそのままゲレンデから歩いてきたという感じの外国人をよく見かけますが、オススメできません。
急な斜面では滑って登れずにもがいている人も多く、スノーシューかスプリットボードは準備すべきです。
私はTUBBS・FLEX VRTを使用しています。
少々重いのがネックですが、硬い氷の斜面でもしっかり歯が食い込み、ヒールリフターも付いているので急斜面でも登頂しやすく、BOA付きなので着脱も簡単。
雪がそれほど硬くない時、踏み固められた新雪などの時は、コンパクトなプラスチック製のタイプだと軽くて便利です。
装備に関して言えば、ビーコンも必ず必要です。
雪崩が起きた時に救助してもらう為に必要、と捉えがちですが、実は死亡した時に発見してもらうためにもビーコンは必要です。
2024年1月14日・八方尾根で雪崩が発生、死亡事故が起きました。
この記事とは別ですが、私の友人の知人がバックカントリー時に雪崩に巻き込まれ、未だに安否不明のままです。
あれから1年以上経ちますが、まだ死体は発見されていません。
その方は新婚で家を建てたばかりだそうで、仮に死体が発見され死亡が認定されると保険がおりますが、安否不明のままだと死亡認定まで7年かかり、その間ローンを支払い続けなくてはなりません。
残された家族の事を考える意味合いでも、ビーコンは必ずつける必要があります。
私はマムートのバリーボックスSを使用しています。
この日は爆風で、稜線沿いは新雪が飛ばされアイシーな状態。
1時間程度のハイクで、ドロップポイントの押出沢へ到着。
稜線沿いは爆風でハイクしてても倒れそうなぐらいの強い風が吹き荒れており、写真もそこそこにすぐに滑り降ります。
気持ちよさそうなラインが残っています。
その時に撮影した動画がこちら ↓
バックカントリー 八方尾根 滑走動画の動画|無料の動画素材サイト「動画AC」 (video-ac.com)
風の通り道ではカチカチのアイスバーン、氷の上を滑るような感じでかなり危険でした。
風で雪が舞い、光を遮り一瞬暗くなるぐらいの勢いですが、高度を下げるにつれて風は弱まってきました。
この谷を過ぎてから右方面へトラバースしていきます。
早めにトラバースを始めると、斜めに滑り降りながら距離を稼ぐ事ができるので体力温存に有効でした。
徒渉ポイントを発見。雪がつながり川の上でスノーブリッジができているので川に入らずに渡る事ができます。
雪が少ないシーズン、時期だとこの「雪の橋」ができないため、ずぶ濡れになって川を渡る事になります。
この橋で板を撮影するという定番ポイントに到着、無事に滑り終える事ができました。
ここからはタクシーを呼んでスタート地点の八方尾根スキー場に移動します。
電話して20分程度でタクシーが来ました。「おびなたの湯」と言えばすぐに理解してもらえます。
携行用の地図としては、国土地理院発行?の物も準備しています。
この地図も一枚携行しているとより安心です。(大町市にある蔦谷書店で購入できます)
事前にルート確認・予習したおかげで、滑りながらルートを間違える事も無くイメージ通りに降りてくることができました。
八方尾根では毎年のように雪崩に巻き込まれて死亡事故が発生しています。
バックカントリーは楽しいですが、一歩間違うと自分だけではなく、他人まで巻き込んでしまう危険性を孕んでいます。
知識・滑走レベルの向上だけでなく、必ず事前準備、ルートの確認を行いより安全に楽しみたいと思います。